Artistar Jewels-ミラノ公募展について➁

エントリーに辺り、実は未だにちょっと気になっていることがあります。

先方の担当者は、恐らくryuroruのデザインイメージでオファーされたであろう事が、
想像に難くないのですが、私はエントリーを決めた段階で
『やったー!ブランドコンセプトから離れて
作りたいもの作っちゃお――!』とゴリゴリ自分の意思を通した
作品を提出すると言う点で、一体どう思っているのだろうかと言う事(笑)

【作りたいもの=ブランドを立ち上げるに前に、自分自身が
大切にしていた者たちを具現化する。これが大きなテーマでした。】

同一人物が製作しているので、さほど気にはならない部分だとは思うのですが、
今回モチーフとしてブランドでは全く使用していない植物モチーフを
取り入れていることが、個人的には久しぶりの試みでした。

ブランド立ち上げ当初、桜の花びらや花火のモチーフを限定的に
製作した事がある以外は一切踏み込まなかった領域でした。

それでも私の中ではブランドのコンセプトカラーに指定するほど、
自身の中には何故か重要なカラーとして認識していたのが
ピオニーパープルでした。(今は表立って出してませんが、
ブランド説明の企画資料には載せてるんです。)

peony【ピオニー】=芍薬

Instagramではモチーフの意味なども書いたのですが、
芍薬と言う花のラインの美しさ、花びらの丸み、
艶やかな色、大輪の花が咲き誇る様に
理想の女性らしさを感じ、そんなイメージを持てる女性に憧れがありました。

昔の言葉にもある

立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花

美人を形容する言葉として幼い頃から認識していましたが、
今回モチーフとしてデザインする事で違う意味もある事を知りました。
(以下引用)
元々は生薬の用い方をたとえたものです。
漢方薬は数種類の生薬を混合し煎じたものです。
それぞれの生薬は特有の薬効を有しており、
症状に応じて適したものを用います。

「立てば芍薬」の”立てば”はイライラとし気のたっている女性を意味し、
芍薬により改善されます。芍薬の根を使うのですが、
痛みを取ったり、筋肉のこわばりを取ったりします。

「座れば牡丹」の”座れば”はペタンと座ってばかりいるような女性を意味し、
それは「お血(おけつ)」(お=於)が原因となっていることもあります。

「お血」とは、漢方で症状を表現するのに用いられる言葉のひとつで、
腹部に血液が滞った状態を意味します。
「お血」は牡丹の根の皮の部分(牡丹皮・ぼたんぴ)により改善されます。

「歩く姿は百合の花」は百合の花のようにナヨナヨとして歩いている様子を表現しており、
心身症のような状態を意味します。その場合には百合の球根を用います。
このように、それぞれの症状に合った生薬を用いると健康になれます。
つまり、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」は、
健康な女性は芍薬・牡丹・百合の花のように美しいという意味合いがあるようです。

余談が大分ボリューミーになりましたが
そう、結局のところ健康第一(笑)
この辺りも今の私のテーマなので、加齢と共に回りまわってピッタリ!!!

そして、今回芍薬はリングの腕の部分で表現しました。




葉でメインの石を囲んでますが、実は今回の一番のこだわりが
中央部分の水晶と白蝶シェルで表現している、水と月になります。

シルバーのパーツで水や海面の泡を表現しその上に水晶を配置し、
自身が癒しの要素として重要視していた水(海に繋がる要素でもあり)に
月が写っている様を表現しています。
期せずしてUV樹脂の気泡が水泡を彷彿とさせるデザインとなり、
偶然の産物にまたもや助けられ世界観が完成しました。
(私のデザイン、割とこの計算せずして生まれてしまうと言う
ミラクルに何度となく助けられています(笑)

画像を良く見ると泡が見えるのですが、
流石にここまでの説明を英文に入れてないので、
先方は気づいてないとは思うのですが、何より公式Instagramに
リングではなくピアスの画像が取り上げられているので、
なんでやねん!となった次第ですが。

ピアスはリングの一部でもあるのでメインはこちらなんですけども。。。と言う
本音を抱きつつ、結構こだわって細かくラインやテクスチャーを付けていたので、
そちらの方が目に留まったのかなと言い聞かせて見たり(笑)

そんなピアスがこちらです。



泡の表現は人それぞれ、私は特に石鹸につく泡をいつか表現したいと
思っていたので、ここで点と点が繋がったと意気込んで製作しました。
ぶくぶくしていると言うより表面に網目状に張り付くあの
丸い連続。美しすぎる・・・といつも眺めてました、洗顔後に(笑)

ふと日常に潜んでいる自然が生み出す造形に
いつも美しさを見出していたのですが、中々それらを商業デザインに
転換していくことは難しい面がありました。

機能美もある程度込めていかなければいけないので、
一応これでもブレーキをかけつつブランドの商品はデザインしてまして、
そのブレーキを踏まなくても良い今回は、実物を見ると分かると思うのですが、
サイズ感無視、重量無視、装着感まぁそこそこと言う感じで
非日常的、アートに特化して製作しました。

アートは自由なので、本当に楽しいです。そもそも売る気も無いので。
価格も強気な金額を一応つけてます。
本来私の中では付ける必要は無いのですが、
先方からは参考上代の指定があるので、
設定した金額が我ながら笑えます。

これは手元に戻り次第気なる方は聞いてください。お伝えしますので^^

デザインに関してはシルバーで製作したので括りとして
Contemporary Jewelryと言うジャンルでこちらのサイトにて
既にご紹介頂いてます。
ring
pierce

このサイトは、今回の公募展のページなのですが、
沢山のアーティストの作品が掲載されている為、
物量が半場無く、私自身作品を探すのに苦労し、知人たちも探せないと言う(笑)

いかに規模が大きいイベントなのかが分かります。

そして、サイト掲載後に早速海外からのお問い合わせを頂き、
NYのときと同じくボケっとネトフリを見てた時にメールが飛んできたので、
毎回時差に驚かされるのですが、それよりなにより、
きちんとリアクションがあるのだなと改めて出品した実感を
ここ数日体感しています。

来年の目標としていた更なる海外展開の足掛かりとなる様な
ご縁に繋がる事を願いつつ、当日を迎えたいと思いますと共に、
毎度英文対応のメールに恐ろしく時間がかかるので、
若干ゆとりのある今の時期で良かったなと、
胸をなでおろしているryuroruでした。

次回出品に当たり、おまけ的な話も含めつつ
Artista Jewelsシーズン1を締め括りたいと思います。

知れば知るほど現地に飛びたかったイベント。招待内容が楽しそうで
本当に素敵なイベントの様です。当日も楽しみ。